「」エッセイ②

#1 雨が建物を打つパラパラという音としずくの滴るポタッという音が白熱電球で照らされた淡い空間に響く。午前0時を過ぎたリビングルームで冷たいリンゴジュースを飲む。斜め前の棚からブタの貯金箱が寂しげな目線を向けている。小学生の時、夏休みの課題…

「操欲」の思想ーエピクテトスを訪ねる<「手綱」としての哲学>

はじめに 最近、自分の過去反復反省が過剰だということに気がついた。端的にいうと向いている方向が、めちゃくちゃ後ろ向きなのだ。こういう状態だとまず事故る。当然だ。マリオカートを後車確認視点で完走できるやつなんかいない(一部の化け物を除いて)。…

「TENET」の感想

(「エリザベス・デビッキてデカイわね」と思って後で身長調べたら、190あった。クリス・ヘムズワースと同じやん。オーストラリアの人って大きい人が多いなぁと思った。) 評判の映画「TENET」を先日観てきた。「ダークナイト」以降クリストファー・ノー…

長い独り言〈情報と如何に付き合うか〉

最近、Twitterを辞めたいと思った。「やめればええやん」というそういう話なのだが、そう思った理由がいくつかあるのとそのきっかけについて少しばかり共有できたらなと思ったので、まとめておく。 まず、やめたいと思ったきっかけは池田エライザさん。唐突…

愛猫に捧げる最初で最後の言葉

彼を愛してくれた全ての人へ。

言葉と環世界と人生〈「メッセージ」を考える〉

恋人が家に来る。特別に何か用があるわけでもないのでお菓子と飲み物を用意して映画を見始める。暗くした部屋で映画の音のみが空間に反響し、恋人の顔にはテレビ画面の明かりがチラチラとよぎる。画面を観る眼差しの出発点には栗色の美しい瞳が輝いている。…

近況とコトの再構成<事実の多面性>

「13の理由」のちょっとした感想と自分の近況についてまとめました。

<今、人、思考>:「愛する」を巡る思考の軌跡

「愛していると好きの違いって何?」と以前に聞かれたことがある。その時、頭をよぎったのは、シモーヌ・ヴェイユの「同じ言葉(例えば夫が妻に言う「愛しているよ」)でも、言い方によって、陳腐なセリフにも、特別な意味をもった言葉にもなりうる。その言…

〈今、人、思考〉:「脆弱さ」の先に燻る光明

※↑最近ハマっているyonawoのジャケットを拝借しました。(記事の内容とはなんの関連性もありません。) 「毎日が描いたような月並みなら幸せだけど」と「僕らなら」という曲でラブサマちゃんは歌う。今、僕はありきたりな日常が、五ヶ月前のあの日常が恋しく…

I

1ヶ月ぶりぐらいの更新になるのだろうか。久しぶりだ。想像も出来なかった事態になっている。新型コロナウイルスである。 感染による直接の被害も甚大なものとなりつつあるが、経済にも深刻な打撃を与えている。アメリカではこのままだと失業者の数が30年代…

羊文学「人間だった」の解釈を本気で考える

羊文学の「人間だった」をポストヒューマンという観点から、真剣に考察します。

もう一度「愛がなんだ」について考えてみる

「なぜだろう。私は未だに田中守ではない。」 物語の登場人物 山田テルコ・・・20代後半の独身女性。この物語の主人公。友人の友人の結婚式で出会った田中守に恋をする。好きと嫌いという区分ではなく、好きとどうでもいいになってしまう。物語のなかでは…

メモに保存されていた断片的な日記

#1 朝井リョウのエッセイ集「風と共にゆとりぬ」に「待ち遠しい夏」という短編エッセイがある。どういうエッセイか簡単にまとめると「子供の頃に比べて待ち遠しいものが減った」というものだ。 朝井は社会人になって初めて8月に祝日が存在しないことに気づい…

「ネット上の人間関係における簡単な考察」のアルバム上の一曲における簡単な考察

たった一曲聴いただけなのにガッツリとバンドに惚れ込んでしまう。そんなことがたまにある。Chelmicoとかはその筆頭だったわけだけど、最近またそういう瞬間があった。イギリスのロックバンドThe 1975である。 音楽好きな職場の先輩が、今年のサマソニに行っ…

ジョーカーを観た後の落ち込みが止まらない

話題のジョーカーを観てきた。本作は、バットマンの悪役であるジョーカーがいかにして生まれたのかを描いたものだ。 ジョーカーはジャックニコルソンやヒースレジャーなど名優と呼ばれる俳優によってこれまで何度も演じられてきた。特に、僕世代の人はヒース…

ビール体験をぽろぽろ語る(ゆるく)

どうもお久しぶりです。ブログを更新してない間に大きい台風が2回も来ましたね。僕や僕の実家は特別大きな被害は受けませんでしたが、友人の中には被害をうけた方もいるようで。自然の力はとてつもないものだなと改めて実感しています。 更新をしてない間に…

『ミュウツ―の逆襲Evolution』を観てきたというお話

最後にポケモンの映画を観に映画館まで行ったのはいつのことだったろうか。久しぶりにポケモン映画を観に行ってきた。現在公開中(2019年7月現在)の『ミュウツ―の逆襲Evolution』である。まさかこの年になって観に行くことに、というより観に行きたい…

語りたくなる旅の思い出(NY②)

ニューヨーク2日目。21時就寝からの6時起床。おじいちゃんばりの健康的なスタートを切り、素晴らしい観光1日目が始まった、、、、と綴りたいところなのだが、、、、なのだが、、、、。 朝といえばやっぱりブラックコーヒーである。半分寝ぼけながら、水を沸…

語りたくなる旅の思い出(NY①)

日常の生活を離れて、普段目にしない雄大な景色を見に行ったり、食したこともない珍味を楽しみに行ったり、旅には様々な楽しみ方がある。この記事を読み始めたあなたにも、旅先でのちょっとしたハプニングや現地の人との心温まるエピソードをもっているので…

対面性の欠落<第一次世界大戦の暴力について>

はじめに 現在、私たちは第一次世界大戦をどのように考えているだろうか。第二次世界大戦に比べるといささかその存在ぶりは影が薄くなっているというのが現状ではないだろうか。先の大戦に比べて、印象が薄い理由はいくつか挙げられる。第一に、第一次世界大…

第2回「ビールのおはなし」

「ビールて色々あるやん」 「おん」 「エールてあるやん」 「おん」 「あれは何?」 「あーっと、、、それはね はい!ということで「ビールのおはなし」第二回のテーマは ビールとは何?エールとは何? みなさん、普段飲んでいるビールがどんな飲み物か知っ…

学生生活を終えて

はじめに 先日、大学から卒業通知が届いた。大学が春休みに入ってから一か月ちょっとだろうか。「あ~、ついに来たか」という感じだ。明日、僕は大学を卒業する。 あっという間に四年の月日が過ぎていた。最初の頃のことはよく覚えている。春休みにはTwitter…

最強の炊飯器

「万国の消費者は団結するまえに、みんな「お人好し」化してしまった。唯々諾々と新型機種に乗り換えては、捨てて、乗り換えては捨ててを繰り返し、新自由主義の時代に貯めておかねば将来が危ぶまれるお金を、ジャブジャブ計画的陳腐化に貢献すべく投じてい…

お金が「お金」であるとはどういうことか

貨幣が「貨幣」であるとはどういうことか。その特徴や仕組みとは何か。

「」のエッセイ①

ある日の大学帰り、電車の中で僕はウトウトしていた。その日は、昼休みにアカペラのバンド練習をし、その後は大学の図書館でひたすら卒業論文に取り組んでいた。それを夕方まで続けた後、大学の別校舎に移りサークルの全体会に参加。自分にしてはよく活動し…

応答①の2

「ごめん、めちゃくちゃ遅れた。寝坊。」「1時間も待ったんだけど。」「ほんとごめん。でも言い訳させて。昨日遅くまでバイト先の飲み会があってさ、飲み過ぎちゃってさ。」「いや、それ言い訳にできないから。飲んだら起きれなくなることを自覚してるんだ…

第1回「ビールのおはなし」

"「ビィール」と云ふ酒あり。是は麦酒にて、其味至て苦けれど、胸膈を開く為に妙なり。亦人々の性分に由り、其苦き味を賞翫して飲む人も多し。 (「西洋衣食住」/『福澤諭吉全集』所収)" 「胸膈を開く」とは、「胸の内を明かす」を意味する。福澤諭吉はお…

応答②

※この記事は前回の続きではない。 「この間捕まったko生が読んでいたことからニュースで皮肉の材料となった『生きる意味』という本をご存じでしょうか?著作自体はさておき、私たちがこのように「生きる意味」って何なんでしょうか?これに関してお考えあれ…

応答①

「延命治療についてどう思いますか。人の終わり方の是非を第三者が議論している状況についてどう思いますか。」 お題箱にお題が届いていたので、今回はそれについての記事だ。 このお題(質問というべきか)を見て思ったのは、文面通りに答えるべきか。それ…

家について

「ファーンズワース邸は、思うに、ちゃんと理解されたためしがない。私は朝から晩までこの家の中にいたことがある。それまで、自然があんなに色彩的だなんて知らなかった。室内空間にニュートラルな色を使うには注意深くないといけない。自然にはあらゆる色…