第1回「ビールのおはなし」

 

 

"「ビィール」と云ふ酒あり。是は麦酒にて、其味至て苦けれど、胸膈を開く為に妙なり。亦人々の性分に由り、其苦き味を賞翫して飲む人も多し。 

(「西洋衣食住」/『福澤諭吉全集』所収)"

 

 「胸膈を開く」とは、「胸の内を明かす」を意味する。福澤諭吉はお酒が強くなかったらしいが、ビールは好んでよく飲んでいたという。

 

 さて、読者のあなたはビールが好きだろうか。僕のまわりには、「ビールは苦手」という人がたくさんいる。また「飲めるんだけど、美味しいと思ったことはない」という人も多々だ。なぜか、ビールだと酔いやすいという人もいる.

 

 記事を書いている僕自身はどうかというと、大のビール好きである。それもそこらの「俺ビール好きだよ」とかいう人間よりはよっぽど好きな方だと思う。飲んだビールの種(スタイルのことではない)でいえば、150以上だと思う(最近は醸造酒の禁酒をしているので全く飲んでないが)。びあ検定(アマチュアの資格)の級は2級を持っている。

 

 ビールがなぜ好きなのか。これは僕の中では結構はっきりとしている。それは福澤の答えと大差ない。人と打ち解ける空気、お互いにこころよく話せる場をつくってくれるからである。これは、どのお酒にも言えるかもしれないが、ビールの雰囲気はまた少し違う気がする(これは好きな人にしか伝わらないかもしれない)。

 

 また、その種類(ここではスタイルの意)の豊富さもビールの楽しい部分だ。日本のビールだけを飲んで苦手だと主張しているそこのあなた。世界に、ビアスタイルに目を向けて見てはどうだろうか。

 

 ということで、ここまで述べてきたわけだが、何回かにわけてビールについて語ってみようかと思う。ビールというのは非常に奥が深いのだ。「ああ、こんな世界もあるのね~」ぐらいの感じで読んでいただきたい。それでは第1回目のテーマは、こちら💁‍♂️

 

 

 「日本で一般的に売られている銘柄について」

 

 

 ここでいう「一般的に」とはどこのスーパーやコンビニに行っても大体置いてあるという意味で理解してほしい。

 

 パッと頭に思い浮かぶものをあげてみよう。アサヒのスーパードライ、キリンの一番搾りサントリープレミアムモルツ、サッポロの黒ラベルとエビス。こんなものだろうか。

 

 これ以外にもあげられるものがいくつかあるだろうが、今回はこれらに絞って語ってみる。

 

 まず、スーパードライ。居酒屋に行くと1番出てくるビールではないだろうか。味の特徴はやはりキレだろうか。少し他の銘柄と比べると辛口かもしれない。ホップの香りはあまりしない。可もなく不可もないビールだと言える。魚料理なんかによく合う。

 

 次に、キリンの一番搾り一番搾り麦汁を使っているというだけあって他の銘柄よりは麦の旨味をしっかりと実感できるビール(ただし、一番搾り麦汁=美味いという図式で考えないこと)。昨年あたりから発売されている新一番搾りはやや味がまろやかになった印象だ。焼き鳥に合う。

 

  プレミアムモルツ。よくビールがそんなに好きではない人が「プレモルなら」というのを聞く。他のビールと違うのはオレンジピールを副原料に使用していることだろうか。爽やかさと甘味が加わることで他のビールよりはやや飲みやすくなっている気がする。フライや餃子に合う。

 

 黒ラベル。ホップの風味も麦の旨味もあまり感じられない印象。全体的に味が薄く、麦味の炭酸水を飲んでいるような気がしてくる。ホップの香りが苦手な人なんかは飲みやすいかもしれないが、個人的には美味しいビールだとは思ってない。チョイスするタイミングとしては、料理の味をしっかりと堪能したい時がベストかもしれない。

 

 エビス。日本ビール界の重鎮。味や香りなどすべてにおいて高品質。ビールが好きな人なら異論なくエビスをあげるのではないかと思う。ただ、ビールがそこまで好きじゃない人や飲み慣れていない人が飲むとそんなに美味しく感じられないかもしれない。特にホップの香りが苦手な人はやめておこう。エビスに関しては、ビールの味をしっかりと味わうために料理よりもちょっとしたつまみと飲むのがいいのではないか。

 

 独断と偏見でちょこっと紹介してみた。個人的に順位をつけるなら、

 

1、エビス

2、プレモル

3、一番搾り

4、スーパードライ

5、黒ラベル

 

といった感じだ。

 

 今度、スーパーやコンビニでビールを買うときに「そういや、あぽろがなんか言ってたな」ぐらいで参考にしてみてはいかがだろうか。

 

 上記で述べたビールのスタイルは全てピルスナーと呼ばれるものだ。日本で大手のビール会社がメイン商品として売り出すビールは大抵ピルスナーなのだ(もちろん例外もある)。だから、ほとんどの日本人はピルスナーの味をビールの味だと思っている。しかし、それは部分を全体と取り違えているに等しい。ピルスナーとは数あるビアスタイルの1つにすぎないのだから。

 

 ということで次回の「ビールのおはなし」では、ビアスタイルに関してお話したいと思う。

 

 今回はここまで!

 

 

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