2020-01-01から1年間の記事一覧

「」エッセイ②

#1 雨が建物を打つパラパラという音としずくの滴るポタッという音が白熱電球で照らされた淡い空間に響く。午前0時を過ぎたリビングルームで冷たいリンゴジュースを飲む。斜め前の棚からブタの貯金箱が寂しげな目線を向けている。小学生の時、夏休みの課題…

「操欲」の思想ーエピクテトスを訪ねる<「手綱」としての哲学>

はじめに 最近、自分の過去反復反省が過剰だということに気がついた。端的にいうと向いている方向が、めちゃくちゃ後ろ向きなのだ。こういう状態だとまず事故る。当然だ。マリオカートを後車確認視点で完走できるやつなんかいない(一部の化け物を除いて)。…

「TENET」の感想

(「エリザベス・デビッキてデカイわね」と思って後で身長調べたら、190あった。クリス・ヘムズワースと同じやん。オーストラリアの人って大きい人が多いなぁと思った。) 評判の映画「TENET」を先日観てきた。「ダークナイト」以降クリストファー・ノー…

長い独り言〈情報と如何に付き合うか〉

最近、Twitterを辞めたいと思った。「やめればええやん」というそういう話なのだが、そう思った理由がいくつかあるのとそのきっかけについて少しばかり共有できたらなと思ったので、まとめておく。 まず、やめたいと思ったきっかけは池田エライザさん。唐突…

愛猫に捧げる最初で最後の言葉

彼を愛してくれた全ての人へ。

言葉と環世界と人生〈「メッセージ」を考える〉

恋人が家に来る。特別に何か用があるわけでもないのでお菓子と飲み物を用意して映画を見始める。暗くした部屋で映画の音のみが空間に反響し、恋人の顔にはテレビ画面の明かりがチラチラとよぎる。画面を観る眼差しの出発点には栗色の美しい瞳が輝いている。…

近況とコトの再構成<事実の多面性>

「13の理由」のちょっとした感想と自分の近況についてまとめました。

<今、人、思考>:「愛する」を巡る思考の軌跡

「愛していると好きの違いって何?」と以前に聞かれたことがある。その時、頭をよぎったのは、シモーヌ・ヴェイユの「同じ言葉(例えば夫が妻に言う「愛しているよ」)でも、言い方によって、陳腐なセリフにも、特別な意味をもった言葉にもなりうる。その言…

〈今、人、思考〉:「脆弱さ」の先に燻る光明

※↑最近ハマっているyonawoのジャケットを拝借しました。(記事の内容とはなんの関連性もありません。) 「毎日が描いたような月並みなら幸せだけど」と「僕らなら」という曲でラブサマちゃんは歌う。今、僕はありきたりな日常が、五ヶ月前のあの日常が恋しく…

I

1ヶ月ぶりぐらいの更新になるのだろうか。久しぶりだ。想像も出来なかった事態になっている。新型コロナウイルスである。 感染による直接の被害も甚大なものとなりつつあるが、経済にも深刻な打撃を与えている。アメリカではこのままだと失業者の数が30年代…

羊文学「人間だった」の解釈を本気で考える

羊文学の「人間だった」をポストヒューマンという観点から、真剣に考察します。

もう一度「愛がなんだ」について考えてみる

「なぜだろう。私は未だに田中守ではない。」 物語の登場人物 山田テルコ・・・20代後半の独身女性。この物語の主人公。友人の友人の結婚式で出会った田中守に恋をする。好きと嫌いという区分ではなく、好きとどうでもいいになってしまう。物語のなかでは…